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栄養療法に対する認識と期待

患者からみた栄養療法の重要性とその将来への希望

The significance of nutritional therapy from patient's eyes and hope for the future

門脇基二

栄養-評価と治療 Vol.29 No.3, 18-20, 2012

SUMMARY
基礎栄養学ともいえる生化学・代謝学の研究者が突然癌を患い,患者として治療を受けた立場から,癌治療における栄養療法について体験し,感じたことをまとめた。癌治療においては栄養療法は間接的な治療であるが,特に術後回復期における生活の質(QOL)の改善のためには非常に大きな役割を担っていることを実感した。

KEY WORDS
■経腸栄養剤 ■成分栄養剤 ■腸瘻 ■生活の質(QOL)

Ⅰ はじめに

 私は,いわゆる農学分野にあって,食品の基礎となる栄養学,特にアミノ酸・タンパク質の栄養生化学について教育・研究を続けてきたものであるが,2年半ほど前に突然食道癌を患い,奇しくも手術を受けることになり,生まれてはじめて病院というものにお世話になった。そこで,いつもは理論的な話を教室で学生たちに授けている立場の人間が,はじめて栄養療法を自分が受ける立場となり,ベッドで実体験することとなった。幸い,優秀な外科医の先生のおかげで一命を取りとめ,こうしてまた元気に研究活動にも復帰できている。先日,本誌特集担当の東京大学の深柄和彦先生より,こうした私の体験をふまえて,「患者からみた栄養療法」というものについて書いていただけないかとの依頼を受け,思わず引き受けてしまったものである。抽象的な議論ではよくわからないので,自分の体験を例に感想を述べさせていただくことにする。

Ⅱ 治療の経過

 今回,はじめて病院に患者として入院してみて,臨床現場での医学用語や詳細な治療法については全く無知であることがよくわかった。癌という病気1つとっても,これまで身近な親族にもなく関心もなかったので,癌の部位,種類,程度に応じて,これほどさまざまな治療法があるということは驚くばかりであった。ここでは治療法のなかでも特に栄養療法についての感想ということなので,私が受けた治療を紹介しつつ,振り返ってみることにする。
 では,表1を参考にしながら具体的な経過を以下に述べる。

実は,病気発見の1~2ヵ月前にだんだん食物が飲み込みにくくなってきたことから,体に違和感を覚えだしていた。自分では癌など想像すべくもなく,何か神経性のもので嚥下機能が障害を受けたものかと思ったが,全くそうではなく,レントゲン検査から食道に癌があることが判明し,直ちに入院と相成った。

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