SUMMARY 結腸開腹切除術を対象に作成されたERASプロトコールは,現在では多くの術式が対象となっているが,肝臓外科手術においてはほとんど検討されていない。今回,関西医科大学附属枚方病院消化器外科の肝切除術にERASプロトコールを導入し,これまでの周術期管理を再検証した。検証項目は1.入院前の十分な情報提供と努力目標の確認,2.退院基準の明確化,3.術前腸管前処置の廃止,4.術前後の絶飲食の廃止,5.ドレーン廃止,6.術後経鼻胃管チューブ留置の排除,7.尿道カテーテル使用期間の短縮であった。パイロット試験を行った結果,肝切除術においても結腸切除術と同様にERASプロトコールが安全に導入可能であった。 KEY WORDS ■肝癌 ■障害肝 ■肝切除術 ■ERASプロトコール ■合併症軽減