欧州を中心に提唱されているERASプロトコールとはEnhanced Recovery After Surgeryの頭文字をとった略語である。日本語にすると,さしずめ「術後の回復強化プログラム」といったところであり,fast track(早道,近道)surgeryとも呼ばれる。これまで大腸手術患者を対象として検討が進められてきたプロトコールであり,周術期のストレスを軽減し,術後の早期回復を目的としている。ある種のクリニカルパスのようなものと考えて差し支えない。エビデンスに基づいて,有効と考えられるさまざまな方策(element)を駆使し,術後の回復を早めることを目的としている。そして,実際にERASプロトコールを適応することで,合併症の減少や入院期間の短縮が報告されている。