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第34回日本栄養アセスメント研究会発表演題より

精神科における入院時栄養状態の実態調査

Surveillance of nutritional status at hospital admission in psychiatry unit

畔上悠小山諭畠山勝義

栄養-評価と治療 Vol.29 No.1, 24-27, 2012

SUMMARY
精神科病院に入院している患者は薬剤の副作用,食事摂取量や運動量の低下などにより低栄養に陥っている可能性も少なくないと考えられる。そこで今回,精神科病院入院患者の入院時栄養状態の調査を行った。その結果,国民健康・栄養調査の結果と比較すると,精神科病院入院患者ではヘモグロビン値,血清蛋白値,血清アルブミン値が低く,栄養不良の割合が高い可能性が考えられた。

KEY WORDS
■ 精神疾患 ■ 国民健康・栄養調査 ■ 低栄養 ■ NST

Ⅰ はじめに

 2010年度診療報酬改定において栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)加算が新設され,栄養管理への注目が高まっている。NST加算の対象患者は「一般病棟入院基本料,特定機能病院入院基本料,専門病院入院基本料のうち,7対1入院基本料または10対1入院基本料の届出病棟に入院している患者のうち,栄養管理実施加算が算定されており,栄養障害を有すると判定された者」となっている。そのため精神科病院に入院している患者は対象外となっており,内科系,外科系など他疾患に比し,栄養管理に対する関心は薄いように思われる。しかし,精神疾患を有する患者は薬剤の副作用,食生活の偏り,食事摂取量や運動量の低下などにより低栄養に陥っている可能性も少なくないと考えられる。
 一方,統合失調症などの精神疾患における肥満や生活習慣病との関連を示す報告1)2)は数多くあり,特に近年多く使用されるようになった非定型抗精神病薬では,糖代謝異常,脂質代謝異常,体重増加,肥満などが問題となっている3)。しかし,低栄養についての報告は少ないというのが現状である。
 厚生労働省の患者調査によると,精神疾患により医療機関を受診している患者は1996年には218万人であったが,2008年には323万人と増加傾向である。疾患の内訳としては,多いものからうつ病,統合失調症,不安障害などとなっており,近年特に増加しているのはうつ病と認知症である。この2つの疾患は低栄養と関連が大きいのではないかと思われる。また,受診していない患者も多くいると推測され,今後も患者数は増加していくのではないかと考えられる。
 そこで今回,今後の栄養管理に役立てることを目的とし,精神科病院入院患者の入院時栄養状態を調査した。 

Ⅱ 対象と方法

 2008年1月~2010年5月までに新潟県立精神医療センターに入院し,かつ退院した患者のうち,入院時に身体計測,血液検査を行い,栄養管理計画書の作成が行われた患者(P群)677名(男性324名,女性353名)を対象とした。
 入院時に作成した栄養管理計画書に記入されている身長,体重およびbody mass index(BMI),血液生化学検査値としてヘモグロビン値(Hb),血清蛋白値(TP),血清アルブミン値(Alb)のそれぞれの平均値について,2008年度国民健康・栄養調査における日本人のデータ(C群)との比較を行い,性別,年齢別での両群間の相違を検討した。なお,今回の検討では国民健康・栄養調査の定義と同じであるBMI18.5kg/m2未満を低体重(痩せ)とした。

Ⅲ 結 果

1.痩せの割合の比較

 男性の痩せの割合はC群では20歳代が最も多く,30歳代で低下しその後年齢とともに増加傾向であるのに対し,P群では60歳代が最も多く,20歳代は最も低かった。30歳代以降ではP群はC群に比し,2倍以上痩せが多くなっており,全体的な傾向としてもP群のほうが痩せが多いと考えられた(図1A)。

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