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日本外科代謝栄養学会学術集会

日本外科代謝栄養学会第48回学術集会

櫻井洋一

栄養-評価と治療 Vol.28 No.4, 68-69, 2011

 2011年7月7日~8日,日本外科代謝栄養学会第48回学術集会ならびに第14回NST医師教育セミナーが名古屋国際会議場において開催された(図1)。

本年2月より本学会開催に向けて演題募集を行っているさなかに東日本大震災が発生し,3月から6月にかけて多くの学会やイベントが中止となる厳しい社会情勢のなか,7月の学会開催自体も危ぶまれる状況となった。しかし「本年も多少縮小しても開催すべき」という本学会理事の全会一致の意見により予定通り開催されることが決定された。
 第48回学術集会の総合テーマは,本学会の主要な研究テーマである「外科領域における侵襲に対する生体反応,代謝および栄養」に関して国際的・学際的発展を望み,「国際的学際的外科代謝栄養学・侵襲学の発展」とされた。外科治療の総論であり根幹をなす本研究領域を中心テーマにした本学会は,多くの外科系学会のなかでも明確なアイデンティティーを有している。今回の学会のメインテーマに沿って海外からも多数の招待講演が行われた。教育講演は安定同位元素を用いた外科代謝研究の第一人者であるRobert R. Wolfe教授(University of Arkansas for Medical Sciences)(図2A)と相川直樹慶応義塾大学名誉教授(図2B)により行われ,メイン会場であるレセプションホールが満席になるほどの多くの参加者があった。特にWolfe教授は外科代謝・栄養研究の永年のテーマである「蛋白異化の機序とその対策」について講演された。シンプルなスライドを用いた明解かつ有益な教育講演であった。その他,台湾からHong-Shiee Lai教授(Department of Surgery National Taiwan University)(図2C),フィリピンからJonathan M. Asprer教授(University of Santo Tomas Hospita)(図2D),韓国から韓国外科代謝栄養学会会長であるIn-Ho Kim教授(図2E)によりそれぞれ招待講演が行われた。

アジア各国における栄養治療の現状について講演され,本研究領域でのアジア各国の現状を知るよい機会になったと思われた。また過去2年間にわたり継続している日本アミノ酸学会との合同シンポジウムが今年も企画され,10題の演題が発表され,アミノ酸研究の基礎と臨床の専門家により議論された。本シンポジウムは学会2日目の午後であったにもかかわらず多数の参加者があり,議論も活発に行われた。基礎系学会とのシンポジウムはお互いの学会にとっても非常に有意義であり,今後の研究の発展に大きく寄与するものと思われ,今後も継続することが望まれる。一方,国際的シンポジウムとして韓国外科代謝栄養学会との合同シンポジウムが行われ,日韓両国からの9題の発表があった。当初はやや言語の障壁があったために議論がかみ合わない場面も見受けられた。しかし,ゆっくりとしたペースで進むうちに熱心で真摯な議論が行われ,両学会の友好が深められたと思われる。またトラベルグラントセッション2題,インターナショナルセッション13題の発表もあった。しかし,なかには中国から応募されたいくつかの演題が予告もなくキャンセルされ,演者が来日しなかったことは残念なことであり,文化の違いがあるとはいえ今後の課題であろう。ワークショップは「がん治療患者に対する栄養療法─治療完遂をめざした新しい栄養支持療法─」と題して行われた。手術のみならず,さまざまな癌治療が集学的に行われる時代になり,外科的侵襲とこれらの治療による副作用に対し,これを乗り切り治療を完遂するためにはいかなる栄養療法が適切かという内容で14題の発表とともに熱心に議論された。化学療法や放射線療法は生体代謝に大きな影響を及ぼすことは周知の事実である。したがって,治療を完遂するためには適切な栄養療法が重要であり,癌患者に対する集学的治療中における栄養療法の重要性が再認識された。

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