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用語解説

METs

岩根紳治水田敏彦

栄養-評価と治療 Vol.28 No.4, 63-65, 2011

Point
「METs」はmetabolic equivalents(代謝当量)の略で,国際的に広く使用されている身体活動の強度を示す単位である。身体活動時の酸素消費量が安静時の何倍に相当するかを推定でき,安静時座位の酸素消費量を1METsとして,その2倍の酸素を消費する身体活動を2METs,3倍の身体活動を3 METsと表現する。METsの範囲は0.9(sleeping:安静臥位状態)~18(running at 10.9mph:約17km/時で走る)と定義されている。

Ⅰ はじめに

 近年,急速な高齢化の進展に伴い疾病構造が変化し,疾病全体に占める癌,虚血性心疾患,脳血管疾患,糖尿病などの生活習慣病の割合が増加している。死亡原因でも生活習慣病関連が約6割を占め,医療費に占める生活習慣病の割合も増加している。また,生活習慣病の重症化などの結果として,介護保険財政などにも影響を与える結果となっている。
 メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満を共通の要因とした高血糖,脂質異常,高血圧を呈する病態であり,それらが重複した場合は,虚血性心疾患,脳血管疾患などの発症や,最近ではいくつかの癌の発生のリスクが大きくなることが知られている。運動の習慣化や食生活の適正化など生活習慣を改善することにより内臓脂肪を減少させ,上記疾患の発症リスクの低減を図ることが健康づくりの原点である。
 これらの状況を踏まえ,厚生労働省は最新の科学的知見に基づき,国民の健康維持・増進や生活習慣病の予防のために「健康づくりのための運動基準2006」1)を策定し,望ましい身体活動・運動および体力の基準について示した。そのなかで必要な身体活動・運動量に関して,「METs」を用いた基準が使用されている。また,体力に関しては全身持久力の指標である最大酸素摂取量について表1のような基準値が示されている。さらに,健康づくりのための最大酸素摂取量の範囲(表1)も同時に示されており,最大酸素摂取量がこの範囲よりも低い場合は,まず,この範囲に入ることを目指し,また,基準値よりも低い場合は,基準値を目指すことを提示している。

さらに,酸素摂取量が基準値より高い場合および表1の範囲より高い場合においても,体力向上による生活習慣病予防の効果が確実になるように取り組むことが望ましいとされている。
 本稿では,「健康づくりのための運動基準2006」の内容を提示しながら,METsの解説を行うことにする。

Ⅱ METs(メッツ)について

 METはmetabolic equivalent(代謝当量)の略で,国際的に広く使われている身体活動の強度を示す単位のことであり,METsはMETの複数形である。さまざまな身体活動・運動のMETsへの割り当てを,それまでにも報告され用いられてきた身体活動・運動の強度を基にAinsworthらがまとめ,その大要は1987~1989年のSAFE Studyで初めて使用された。その後,1993年に大要が確立され,2000年にUpdateを行い現在のかたちに標準化されている2)。もともと,40歳代で体重70kgの白人男性の酸素消費量を基準に標準化された指標であり,日本人の最大酸素摂取量よりも多く,運動の基準としてはやや負荷が強い可能性がある。また,年齢や固体差なども加味する必要がある。日本人に該当するMETsの割り当てに関しては,今後のデータの蓄積が必要と考えられる。
 METsは身体活動時の酸素消費量が安静時の何倍に相当するかを推定するために使われる。METsの算出方法は,その身体活動の単位時間・体重1kgあたりの酸素摂取量であり,安静時における酸素摂取量3.5ml/kg/分を1 METsとし,これの2倍を2METs,3倍を3METsと表す。実際の身体活動量の目安としては表2~4に示すとおりである。

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