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NST活動の現状と今後の展開

NSTと地域連携

中濵孝志唐渡敦也渡邊裕花上伸明比企直樹

栄養-評価と治療 Vol.28 No.4, 57-61, 2011

Summary
現在のわが国の医療は急速な高齢化により高騰する医療費の財源が問題となっている。そこで,疾病の予防や治療の基本となる栄養療法が脚光を浴びてきている。このような状況のなか,疾病によるさまざまな栄養障害に対して病院で行われる急性期医療と,その後の関連施設や在宅での慢性期医療の連携が重要であり,これからの栄養サポートチーム(NST)は病院内だけに留まらず,その活動の場を地域にも広げていく必要がある。

Key words
■ 地域連携クリティカルパス ■ 在宅中心静脈栄養法 ■ 在宅経腸栄養法 ■ ネットワーク・システム

Ⅰ はじめに

 2006年度の診療報酬改定で栄養管理実施加算が新設され,2010年度には,栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)加算が新設された1)。これは,患者の栄養管理の重要性が認識されてきたとともに累積する医療費に対する抑制への期待であると考えられる。栄養管理は疾病の予防と治療の基本となる行為であるため,急性期から慢性期の医療においてその中心をなすものであり,継続的な実行が求められる。今回,病院で行われる急性期の栄養管理と退院後の他施設や在宅における継続した栄養サポートについて,NSTと地域連携の現状と課題を述べる。

Ⅱ NSTと栄養管理を必要とする患者の現状

1.NSTの現状

 NSTは,2000年から日本静脈経腸栄養学会2)が主導となり,全国の医療施設で活動を推進する取り組みが始まり,2011年現在では約1,450以上の施設が学会認定され積極的に活動している。また,その後,日本病態栄養学会3)もNST施設認定活動を開始し70の施設が認定され活動している。さらに,2005年には,両学会が中心となり合同でNST活動を推進する目的で,第三者認定機関の日本栄養療法推進協議会4)を立ち上げ,NSTの施設認定活動を行い,その認定数は940施設になっている。わが国でNST活動が開始されてから約10年が経過し,急速に広がりをみせ,「NST=栄養サポートチーム」として認識されてきた。NSTは医師,歯科医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,管理栄養士などの専門職が集まり,栄養管理が必要な患者に対してそれぞれの専門的立場から患者を診て,栄養の評価・計画・実施・再評価というPDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)に基づいて栄養状態の維持・向上に努めている。そして,その活動も病院内外に及び,病院内で実施された栄養管理が,退院後の他医療施設や介護施設,在宅でも継続できるような地域連携のNST活動が必要とされてきている。
 急速に発展してきたNSTであるが,その運営で問題となるのは,各医療職の人員の確保と質の保障である。医療職の従事者数について厚生労働省の資料によると病院での医師は100床あたり約11人であるが,管理栄養士数は約1名で,現実的には栄養の専門的な活動ができる状況であるとは言いがたい(表1)。

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