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NST活動の現状と今後の展開

NST活動の現状と問題点 地域中堅病院におけるNST

藤井真

栄養-評価と治療 Vol.28 No.4, 52-56, 2011

Summary
2010年,栄養サポートチーム(NST)加算が認められ栄養管理の重要性が再認識された。それと同時にNSTの質が求められている。地域中堅病院においては病院でのNSTのさらなる質の向上と同時に,退院後,在宅や周辺施設に戻ってからの栄養管理の継続が重要となっている。そのための情報共有ツールや地域連携システムの整備が必要である。

Key words
■ NST加算 ■ 地域連携 ■ 情報共有

Ⅰ はじめに

 1980年代から,主に消化器外科の術前・術後管理や集中治療室(ICU)における全身管理において,適切な栄養管理の重要性が認識されてきた。2001年頃より東口髙志氏(藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療学講座教授)らの尽力により日本国内で栄養サポートチーム(nutrition support team;NST),つまり多職種によるチームで総合的に栄養管理を行うという概念がひろがり,その後徐々にNST 稼働病院が増加してきた。さらに2010年にNST加算が認められ,NST稼働病院数の増加に拍車をかけると同時に,NSTの質が求められるようになってきている。これまで栄養管理に対しては,栄養管理実施加算などが算定できたもののNST活動に対する対価ではなかったため,NST自体はボランティア的な側面もあった。そのため,チームメンバーも通常の勤務時間内にNST活動をしづらいという声もよく聞かれた。現在NST活動自体に加算が認められ,その分,チーム体制の基準が明確に,かつかなり厳格になり,また内容に関しても質の向上が求められている。数年前までよくみられた,「NSTを稼働したけれども,実際にはほとんど活動していない」というようなことは許されなくなった。
 NST活動を論ずるとき,病院の規模,診断群分類包括評価(Diagnosis Procedure Combination;DPC)導入の有無により区別する必要がある。1,000床規模の総合病院と200床以下の中小規模の病院ではNSTをうまく機能させるうえで異なるシステムが必要となる。さらにDPCを導入しているか否かでも方法が変わってくる。
 南大和病院は神奈川県の中央部に位置する132床の急性期病院である。介護老人保健施設,南大和クリニック,(透析センター,通所リハビリテーションセンター,栄養管理センター,訪問看護ステーション,デイサービスセンター,介護支援事業所),ケアハウスを併設している。急性期病院でありながらも,入院から在宅までトータルして患者をサポートできるシステムを作り,地域に密着した医療を目指している。当院では2001年にNSTが稼働し,今年で11年目になる。最初の2年ほどはNSTの認知度は低く,病棟においても細々と活動していた。その後,日々直面する問題点を解決し,NSTは徐々に力をつけ2005年頃より順調に機能しはじめた。さらに2010年のNST加算導入により病院内の1つの診療部門として認知され重要な位置を占めるに至っている。南大和病院は中小規模の病院であり,DPCは導入していない。
 今回,地域中堅病院におけるNST活動の現状と問題点について述べる。

Ⅱ 南大和病院のNSTの現状

1.NST活動の現状

(1)NST活動
 外科は毎週木曜日,内科は月曜日にカンファレンスおよび回診を行っている。NSTが担当する患者数は,外科・内科それぞれ20~30名程度である。外科では主に消化器癌患者の術前・術後栄養管理や化学療法中の栄養管理が中心となり,内科では誤嚥性肺炎,褥瘡,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)などの患者が対象となっている。
(2)NSTメンバー構成
 医師:4人─外科3人,内科1人〔いずれもTNT(total nutritional therapy)講習受講済み〕
 管理栄養士:5人(うちNST専門療法士2人)
 看護師:4人,薬剤師:1人,言語聴覚士:3人,透析技師:1人,検査技師:1人
 現在,以上の19人でNSTを構成している。看護師,薬剤師は40時間の指定研修を受講している。当院では過去11年にわたりNSTが稼働しているので,毎年メンバーの入れ替えがあり,病棟看護師は約半数がNST経験者である。そのためNST活動がスムーズに実際の医療に反映されやすくなっている。

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