<< 一覧に戻る

NST活動の現状と今後の展開

NST活動の現状と問題点 地域基幹病院におけるNST―福井県立病院NST活動の経緯と現状―

栗山とよ子

栄養-評価と治療 Vol.28 No.4, 47-51, 2011

Summary
福井県立病院栄養サポートチーム(NST)では,入院時の栄養障害を見逃さず,入院中の栄養状態改善・維持を目的に,全患者に栄養スクリーニングを実施して栄養障害疑い全例をNST介入対象とし,また対象外の患者には病棟担当管理栄養士が定期的に栄養アセスメントを繰り返す体制を構築してきた。現在NST対象症例は全入院患者の約10%(120~170例/月)に相当し,そのうち平均70例/月に対してNST加算を算定している。

Key words
■ 福井県立病院 ■ 栄養サポートチーム(NST) ■ 全入院患者 ■ 栄養管理

Ⅰ はじめに

 福井県立病院は福井市中心地近くに立地し,病床数1,082床,診療科24科,平均在院日数14.7日(2010年度実績)の急性期大規模地域基幹病院である。栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)は2003年7月に病院長直属の全科型として活動を開始したが,当時は依頼時介入のみで定期的なアセスメントや勉強会などNSTの基本活動は確立していなかった。2004年6月より入院時栄養スクリーニングを導入して中等度以上の栄養障害/疑い例は全例NST対象として介入し,一方,対象外の患者についても定期的な栄養評価を繰り返し,必要があればNSTへの依頼を促すことでほぼ全入院患者の入院中を通した栄養状態改善・維持に努めている。以下,当院のNST活動について現在までの経緯と現状を報告する。

Ⅱ 栄養スクリーニング─福井県立病院改定SGA─

 NST稼働開始時には栄養スクリーニングはなく,主治医依頼が唯一の介入依頼手段であった(当時の介入数1~3例/月)。したがって,明らかに栄養障害があってもNST対象にならない症例が多数あり,2004年4月筆者赴任後,入院時栄養スクリーニングの必要性を提言した。病院の規模と性質,慢性的なマンパワー不足を考慮して客観的栄養評価指標の導入を提案したが,費用を伴うことより採用されず,主観的包括的栄養評価(subjective global assessment;SGA)を導入した。活動に協力的な数病棟から開始して段階的に拡大し,2004年12月までに全病棟に適用したが,栄養管理に対する実施者(入院時受け持ち看護師)の認識・知識差から結果にばらつきが大きく,かつ実施漏れが目立った。さらに煩雑な入院時入力業務も重なり,97~99%がrough screeningで“栄養障害なし”と判断される結果となった。そこで原本のrough screeningを削除して,栄養状態に影響を及ぼす病態を追加し,胃瘻と褥瘡(のち熱傷に変更)症例は他の評価項目にかかわらず全例NST対象とし,普遍性をもたせるために各項目を点数化するなど数回の改定を重ねた。さらに入力簡便化のため,褥瘡,転落・転倒,SGAからなる入院時評価フォーマットを一本化した。合わせて病棟クラークにスクリーニング漏れのチェックを依頼し,これらによって開始約1年後には短期検査入院を除く全入院患者での実施に至った。
 以後,上記福井県立病院改定版SGAの合計点数に応じて,A(栄養状態良好),B(軽度の栄養不良),C(中等度の栄養不良),D(高度の栄養不良)に分類し,次項に準じて栄養管理を行っている。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る