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NST活動の現状と今後の展開

NSTスタッフの教育体制と認定制度 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)の教育制度

竹山廣光谷口正哲

栄養-評価と治療 Vol.28 No.4, 21-24, 2011

Summary
日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)では栄養サポートチーム(NST)の“質の保証”のため,構成メンバーに対するさまざまな教育プログラムを展開している。各職種には資格制度を設けており,十分な臨床スキルをもったメンバーによる効果的なNST活動を提供している。これら教育プログラムは会員以外にも広く公開しており,わが国の臨床栄養管理を支援している。

Key words
■ 栄養サポートチーム(NST) ■ 栄養教育 ■ TNT ■ LLL

Ⅰ はじめに

 1990年代後半に始まった栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)設立活動は2000年代前半に急速に活発化し,2010年の診療報酬改定においてNSTによる栄養管理に対して診療報酬の付与が新設されるに至った。現在,わが国の主要な医療施設のほとんどにNSTが存在し,多くの医療者が精力的に患者の栄養管理にあたっている。わが国における臨床栄養を黎明期からみてきた筆者にとって,まさに隔世の感がある。現在の臨床栄養のわが国での始まりは,1980年前後に開始された静脈栄養製剤の市販化から始まった。一定期間以上の消化管利用制限を必要とする消化器外科領域を中心として普及が始まり,約10年で(中心)静脈栄養はわが国の栄養療法の基本となった。しかしながら,この時点での一般医療者の臨床栄養に関する関心・知識はきわめて薄く,静脈栄養も輸液療法の一種と捉える医師がほとんどであり,安易な適用拡大により重篤,ときに致命的な合併症が多く発生した。経腸栄養の利点(有効性・安全性・経済性)が臨床栄養の専門家に認識され,静脈栄養から経腸栄養へのmodal shiftが進むなか,医療者(医師・看護師・栄養士・薬剤師・臨床検査技師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・歯科衛生士)に対する栄養教育の必要性はさらに高まった。NSTによる栄養管理は効果的であるが,個々のメンバーに十分な知識・能力が備わっていることが必要条件である。医療者に対する栄養教育を考えると,医師については少数の大学においてのみ臨床栄養講座が開設されているもののとても十分とは言えず,残念ながら栄養療法に関する教育は卒後教育に委ねられている。(管理)栄養士に関しては,職域の範囲では十分な教育が施されているが,NSTの構成要員としてはさらなる追加教育が必要である。その他の職種では,基礎教育段階での栄養教育は全くなされず,卒後教育の必要性はきわめて高い1)。

Ⅱ JSPENのNST専門療法士制度と教育プログラム

 日本静脈経腸栄養学会(Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition;JSPEN)では2000年,NST普及のためNSTプロジェクトを設立したが,同時にコメディカルスタッフを対象としたNST専門療法士制度を設立した(表1,図1)。

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