SUMMARY 慢性腎臓病(CKD)・慢性心不全・慢性肝疾患などの慢性炎症性疾患においては,炎症性メディエーターが低栄養状態,易感染性,動脈硬化,貧血などの生命予後に影響を与える因子を悪化させている。本稿では,われわれが血液透析患者における検討から導き出した,「炎症性メディエーターが鉄代謝を介してこれらの因子に影響を与えている」との仮説について述べる。最初に,基本的な鉄代謝,体内分布について述べるとともに,慢性炎症に関与する炎症性メディエーターがどのように鉄代謝に関係し栄養状態・易感染性・動脈硬化・貧血などにどう影響するか概説する。