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栄養アセスメント ─基礎から臨床へ─

4.生化学検査 (2)脂質

亀井尚

栄養-評価と治療 Vol.28 No.2, 44-46, 2011

SUMMARY
脂質代謝を指標とした栄養アセスメントは,総コレステロール(TC)値と中性脂肪(TG)の測定による。それらの高値は脂質異常症の診断基準となる一方,低値は低栄養状態を反映する。しかし,脂質単独で低栄養の評価を行うことは適切ではなく,ほかの指標と組み合わせたアセスメントが必要である。脂質代謝,蛋白代謝,免疫能を指標として組み合わせたCONUTは,簡便に栄養不良患者を抽出することが可能である。

KEY WORDS
■ 栄養アセスメント ■ 脂質 ■ 総コレステロール(TC) ■ 中性脂肪(TG) ■ CONUT

Ⅰ はじめに

 栄養アセスメントにおける脂質関連の生化学検査は,客観的栄養評価(objective data assessment;ODA)の1つとして行われる。血中に存在する脂質には,コレステロール,中性脂肪(triglyceride;TG),リン脂質,遊離脂肪酸の4種類がある。そのなかで脂質関連の指標として重要なものが,総コレステロール(total cholesterol;TC)値とその分画,およびTGである。日常臨床では,これらの測定は脂質異常症の診断に重要であり,その低下は低栄養,肝障害,甲状腺機能亢進症などで生じる。通常,栄養アセスメントによる低栄養のスクリーニングにはアルブミンをはじめとする蛋白代謝の指標が頻用されるが,特に急性期においては炎症の存在やアルブミン製剤などの投与,肝細胞障害の程度などでその値は大きく変動し,その解釈には注意が必要である。またRTP(rapid turnover protein)はその鋭敏さの一方で,頻回の検査が難しいことやコストの問題もある。これらを補完する意味でも,脂質代謝の栄養指標は重要といえる。ただし,脂質のみで栄養状態を評価することは適切ではなく,後述するように,脂質を含むいくつかの指標を組み合わせた総合的な栄養アセスメントのパラメータが求められる。

Ⅱ 総コレステロール(TC)

 血液中では,脂質がそのままでは溶解して存在することができないため,親水性が比較的高いリン脂質やアポ蛋白に取り囲まれた形で,粒子状になって血液中に存在する。この粒子がリポ蛋白である。リポ蛋白は,比重の軽いものから順に,カイロミクロン,超低比重リポ蛋白(very low density lipoprotein;VLDL),中間比重リポ蛋白(intermediate density lipoprotein;IDL),低比重リポ蛋白(low density lipoprotein;LDL),高比重リポ蛋白(high density lipoprotein;HDL) の5 種類に大別される。
 コレステロールの多くはLDLとHDLに含まれ,それぞれLDLコレステロール,HDLコレステロールとして血中に存在している。LDLは,含有するコレステロールを末梢組織へ運搬する働きがあり,過多になると動脈硬化を促進するため,俗に「悪玉コレステロール」と呼ばれる。これに対し,HDLは末梢組織から余分なコレステロールを肝臓へ回収する働きがある。TC値はすべてのリポ蛋白に含まれるコレステロールを一括した値である。コレステロールは細胞膜成分,ステロイドホルモンの前駆体,胆汁酸の生合成原料となるなど重要で,生体に欠かせない化合物である1)。
 コレステロールは食事から吸収されるものは全体の30%ほどで,残りは体内で合成される。主に肝細胞で作られるが,ほかに皮膚,性腺,副腎皮質,腸管などでも合成される。アセチルCo-Aからヒドロキシメチルグルタリル-CoA還元酵素(HMG-CoA reductase)をキーエンザイムとして20数段階の合成過程を経る(図1)。

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