栄養アセスメント ─基礎から臨床へ─
1.栄養スクリーニング手法 (1)SGA(主観的包括的栄養評価)
栄養-評価と治療 Vol.28 No.2, 18-21, 2011
SUMMARY
主観的包括的栄養評価(SGA)は特別な器具や装置を用いることなく,患者の病歴と身体所見のみから実施可能な栄養アセスメント法として報告された。一方,わが国では専ら栄養スクリーニングに用いられており,妥当な選択といえる。SGAは,身体計測値や血清アルブミン濃度など客観的栄養指標とよく相関し,軽度の低栄養患者を拾い上げにくいが中等度以上の低栄養患者を効率よくスクリーニングできるという特徴がある。このような特徴を十分理解することにより,SGAの効力を最大限に発揮できる。
KEY WORDS
■ 栄養スクリーニング ■ 栄養アセスメント ■ 客観的栄養指標 ■ 病歴 ■ 身体所見
Ⅰ はじめに
主観的包括的栄養評価(subjective global assessment;SGA)の概念は,特別な器具や装置を用いることなく,患者の病歴と身体所見のみから実施可能な栄養アセスメント法として1982年Bakerらによって報告された1)。以来,SGAは西欧諸国をはじめ,アジア,アフリカに至る世界各国において精査され,現在では世界共通の栄養アセスメント法の1つとして汎用されている2)-6)。
一方,わが国においては,適応範囲が広く,使用法がきわめて簡便といった特徴から,SGAは専ら栄養スクリーニング法として用いられているが,後述のごとく,SGAをスクリーニングに用いることは理に適った妥当な選択といえる。
臨床現場におけるSGAの認知度は,ここ数年の間に急速に高まってきてはいるものの,つい最近まで比較的馴染みが薄かったため,SGAの意義・有用性あるいは問題点が十分理解されないまま用いられているケースも少なくない。そこで,本稿ではSGAの特徴を整理し,臨床応用における有用性および問題点について概説する。
記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。
M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。