<< 一覧に戻る

用語解説

制御性T細胞(Treg)

小野聡宮崎裕美齋藤大蔵

栄養-評価と治療 Vol.28 No.1, 54-57, 2011

POINT
免疫系は,さまざまな種類の病原微生物の感染から自らを守るために発達した重要なシステムである。その一方で,あまりに過剰な免疫応答はアレルギー疾患などの病態に,免疫応答が制御されずにいつまでも続く状態はいわゆる自己免疫疾患などの病態の原因になる。このように生体では免疫応答を惹起するだけでなく,これを抑制・制御する働きがないと生命の恒常性を維持することはできない。その制御機能を有するT細胞集団として制御性T細胞(Treg)が発見された。

Ⅰ 制御性T細胞の発見

 1970年代前半にT細胞のなかに免疫応答を抑制する働きがある細胞集団の存在が報告された1)2)。その後,正常マウスのT細胞のなかからあるサブセットを取り除き,残ったT細胞をT細胞やB細胞のないヌードマウスに移入すると自己免疫疾患が発症したことから,T細胞の一部に免疫抑制作用があることが明らかになった3)。そして1990年代後半には,これらの細胞集団がインターロイキン(interleukin;IL)-2の受容体α鎖であるCD25分子を恒常的に高発現したCD25陽性のヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)であることが明らかになり4)5),これらの細胞集団は制御性T細胞( regulatory T cells;Treg)と呼ばれるようになった6)。その後の研究により,CD25以上にTregに特異的な分子として転写因子Foxp3(forkhead box p3)が同定された7)。

Ⅱ 胸腺および末梢でのTregの分化

 T細胞は胸腺において, そのT細胞受容体(T cell receptor;TCR)が胸腺上皮にある自己抗原に強固に結合するものであった場合,アポトーシスへと誘導される。これは自己を強く認識し反応するT細胞の生体内への流出を防ぐためである。しかし,Foxp3というIL-2プロモーターに結合する転写抑制因子を発現したT細胞は,自己抗原と高い親和性があるTCRをもつにもかかわらず アポトーシスをせずに胸腺外へと流出する。このようなT細胞サブセットがTregである。
 一方,胸腺から生体内へと流出したCD4陽性のナイーブT細胞であるTh0細胞は,Foxp3陰性でCD25も陰性であるが,IL-12刺激によってTh1細胞が,IL-4刺激によってTh2細胞がそれぞれ誘導されるように,サイトカインの1 つであるtransforming growth factor-β( TGF-β)の刺激によってFoxp3が発現しCD25が陽性化することが明らかになった8)。すなわち,Tregは胸腺内と同様に末梢においてもTh0細胞から分化誘導されるきわめてユニークなT細胞サブセットであり,胸腺で分化するTregをnaturally occurring Treg(nTreg), 末梢で分化するものをinducible Treg( iTreg)と呼ぶこともある(図1)。

しかし,両者の比率や機能の違いについては明らかになっていない。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る