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第33回日本栄養アセスメント研究会発表演題より

EuroSCOREの栄養指標としての有用性に関する検討

野木正之岸本静香奥田早織原怜大伊佐香子三好きよみ宮田百合恵星野早苗片平晋太郎

栄養-評価と治療 Vol.28 No.1, 49-53, 2011

SUMMARY
術前の栄養状態は術後の合併症や予後に大きな影響を与えるため,栄養評価は重要である。本研究では,術前に算出されたEuroSCOREが臨床検査の栄養に関する項目と関連があるかを検討した。本研究によってEuroSCOREが高いほど低栄養であることが明らかとなった。以上より,EuroSCOREは心臓血管外科領域において有用な栄養指標であると考えられた。

KEY WORDS
■EuroSCORE ■心臓血管外科手術 ■客観的栄養指標 ■アルブミン

Ⅰ はじめに

はじめに

 手術前に適切に栄養アセスメントを行うことは,手術における死亡率1),術後の感染2)や入院日数3)などを減らすことにつながり大変重要である。栄養アセスメントにはさまざまなものが知られているが,具体的な栄養アセスメントの方法として主観的包括的栄養評価(subjective global assessment ;SGA)や客観的栄養評価(objective data assessment;ODA)が挙げられる4)。SGAは,病歴として体重変化,食物摂取変化,消化器症状,身体機能,疾患と栄養量の評価と,身体所見として皮下脂肪や筋肉の消失,浮腫,胸水と腹水の有無を評価する主観的な評価である。一方,ODAは静的栄養指標(身体計測・皮内反応・半減期の比較的長いアルブミン(albumin;Alb)など),動的栄養指標(間接熱量測定・半減期の短いトランスフェリンやトランスサイレチン,レチノール結合蛋白など),総合的栄養指標に分けることができる。さらに,総合的栄養指標として有名なものはBuzbyら5)や小野寺6)によって考案された予後栄養指数(prognostic nutritional index;PNI) などがある。PNIは術前の手術危険度を予測し,術後合併症の発生率の低減や予後の改善に有用な指標であり,わが国ではBuzbyらの計算式より小野寺のPNIが簡便で広く用いられている。しかしながら,PNIは本来消化器外科手術を想定して考案されたものであり,心臓血管外科患者の栄養評価の指標として適しているか不明である。
 EuroSCORE(European System for Cardiac Operative Risk Evaluation) は心臓手術の死亡率を予測する方法であり7)8),現在世界各国で標準的に用いられており,わが国でもその有用性や妥当性が報告されている9)10)。患者の手術前の状態を17項目にわたりチェックして算出する方法である(表1)8)。

EuroSCORE

スコアをすべて合算し,数値が高いほど予測死亡率が高いといえる。しかしながら,臨床検査項目としては血清クレアチニン値しか用いられておらず,栄養との関連は明らかでない。そこで,今回われわれはODAによく用いられる臨床検査の栄養に関連する項目とEuroSCOREに関係があるかを検討した。また,Albは全身の栄養状態を直接的に反映することから,Euro-SCOREとAlbに相関関係を認めるかどうか検討した。

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