第33回日本栄養アセスメント研究会発表演題より
急性期経腸栄養管理における血清亜鉛値の変化に影響する因子
栄養-評価と治療 Vol.28 No.1, 32-35, 2011
SUMMARY
急性期経腸栄養管理における血清亜鉛値の変化に影響する因子を,ジャネフK-LECを利用した症例11例で検討した。約1ヵ月間の投与で血清亜鉛値は上昇傾向であった。血清亜鉛値の上昇群6例と低下群5例の比較から,血清亜鉛値の変化に影響する因子として,流動食(ジャネフK-LEC)自体の効果と炎症反応の2つが関係していると思われた。
KEY WORDS
■血清亜鉛値 ■血清銅値 ■急性期 ■経腸栄養管理 ■炎症反応
Ⅰ はじめに
急性期経腸栄養管理の問題点の1つに下痢がある。経腸流動食のジャネフK-2Sは,たんぱく質,脂質の種類や食物繊維が含まれていないことから下痢の発生が少ないとされ,急性期の経腸栄養管理に利用されてきた。しかし,微量元素含量が少ないことから,中期および長期の経腸栄養管理には不向きと思われてきた。われわれが行ったジャネフK-2Sに微量元素を強化したジャネフK-LECの検討では,約1ヵ月間の投与で血清銅値はやや低下するも正常範囲を維持し,血清亜鉛値は上昇傾向であった1)。しかし,なかには血清亜鉛値の低下する症例も認めた。今回われわれは,急性期経腸栄養管理における血清亜鉛値の変化に影響する因子を調査した。
Ⅱ 方 法
対象症例は,当院に急性期疾患治療目的で入院した経腸栄養管理の患者で,流動食開始時にジャネフK-LECを使用した症例11例,男性4例,女性7例,平均年齢は84±10歳であった。表1に症例のプロフィールを示す。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。