<< 一覧に戻る

第33回日本栄養アセスメント研究会発表演題より

肝硬変患者に対するテーラーメイド栄養管理の血液生化学指標についての検討

奥村仙示山内利香浦野恵利寺本有沙居村暁宇都宮徹島田光生武田英二

栄養-評価と治療 Vol.28 No.1, 18-20, 2011

SUMMARY
間接熱量計により測定される非蛋白性呼吸商(npRQ)は肝グリコーゲン蓄積量を反映し,就寝前夜食(LES)療法適応を判断するための重要な指標であるが,間接熱量計は高価で,測定者への作業的負担が大きく臨床応用しにくい。そこで, npRQを簡便に推定できる血液生化学検査指標を探索した。その結果,遊離脂肪酸(NEFA)によりnpRQを推定することが可能と考えられた。

KEY WORDS
■肝硬変 ■間接熱量計 ■遊離脂肪酸(NEFA) ■非蛋白性呼吸商(npRQ) ■栄養療法

Ⅰ 序 論

 肝臓はエネルギー代謝の中心を担っている臓器である。肝臓が障害された状態では安静時エネルギー消費量(resting energy expenditure;REE) が亢進し,たんぱく質・エネルギー栄養障害(protein energy malnutrition;PEM) を呈しやすい1)。さらに,グリコーゲンの蓄積の低下により脂質優位のエネルギー代謝を呈するため呼吸商(respiratory quotient;RQ)の低下を認める。このため肝硬変患者における一晩の絶食は健常人の2~3日の絶食に相当する飢餓状態を示すことが報告されている2)。さらに,非蛋白性呼吸商(non protein RQ;npRQ)は肝臓の重症度が増すにつれて低下することやnpRQが0.85未満の肝硬変患者では,0.85以上の患者より生存率が低いことが示されている3)。このような肝硬変患者における早朝空腹時の飢餓状態を改善するために就寝前夜食(late evening snack;LES) 療法が提唱されている。過去にわれわれもLES療法を行うことによる肝硬変患者のnpRQの改善を報告した4)。肝硬変患者の病因や重症度を考慮したLESの種類や量に関する研究は少なく,LES療法の適応基準となる指標はまだない。早朝空腹時の飢餓状態の有無やLES療法による改善の程度をアセスメントするためには,栄養エネルギー代謝をリアルタイムで評価できるnpRQが重要な指標と考えられるが,測定には間接熱量計が必要である。欧州静脈経腸栄養学会(The European Society for Clinical Nutrition and Metabolism;ESPEN)のガイドラインなどにおいても,Harris-Benedictの式やSchofieldの式などから算出したREEと実測した値は大幅に異なることがあるためREEは間接熱量計で測定すべきであるとしている5)6)。しかし,間接熱量計は高価であるためすべての病院や施設になく,測定は早朝空腹時に行うため測定人数に限度があること,測定者への負担が大きいことから実測は難しいと考えられている。
 そこで,本研究では臨床応用を目指し,間接熱量計を用いずにnpRQを血液生化学指標から簡易推定すること・エネルギー代謝状態を評価することを目的とした。

Ⅱ 方 法

1.対象

 対象は,徳島大学病院消化器・移植外科に入院した肝硬変患者179名(男性141名,女性38名)とした。対象者の病因はB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)38名,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)109名,HBV・HCV6名,その他26名であった。肝臓の重症度をChild-Pugh分類を用いて評価したところ,A:135名, B:23名, C :21名であった。
 本試験の実施に際しては,試験開始前に被験者に対して試験内容および方法などについて十分な説明を行い,文書による同意を得た。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る