全文記事
周術期の栄養管理の理論と実際
蛋白喪失性胃腸症を伴った消化管癌
掲載誌
栄養-評価と治療
Vol.26 No.1 47-49,
2009
著者名
稲葉毅
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
癌
/
栄養管理
診療科目
消化器外科
媒体
栄養-評価と治療
「SUMMARY」消化管癌と低蛋白血症の併存は多く, 相当数の蛋白喪失性胃腸症併存が隠れていると推測される. 癌自体からの蛋白喪失と, 併存疾患による喪失とがあり, 前者は隆起型胃癌など, 後者は肝硬変, 膠原病, 右心不全などが多い. 診断は, α-1アンチトリプシン消化管クリアランステストなどによる. 癌からの蛋白喪失では, 術前栄養治療は効果があまりない. 早期の切除と術後の十分な栄養投与が最良の治療となる. 「I 蛋白喪失性胃腸症とは」蛋白喪失性胃腸症(protein-losing enteropathy;PLE)とは, アルブミンなどの血漿蛋白が消化管粘膜を通して消化管内に漏出・滲出し, 低蛋白血症や浮腫などを生ずる病態の総称である. したがって, その病因・疾患は1つではないし, 手術対象となる消化管癌とも関連のある場合とない場合とがある. 周術期栄養管理にあたって, その病因を明確にすることが方策の第一歩となる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。