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Ⅰ. 基礎

3.ケトン体による脂肪細胞機能制御

西谷重紀福原淳範下村伊一郎

The Lipid Vol.33 No.2, 26-32, 2022

近年,ケトン体3HBAはグルコース欠乏状態における代替エネルギーとしての役割のみならず,グルコース充足状態ではシグナル因子として,β-hydroxybutyrylationやヒストン脱アセチル化阻害などによりエピジェネティックなヒストン修飾を誘導したり,GPCRのリガンドとして作用するなど,さまざまな作用を発揮する報告が散見される。筆者らの検討では,3HBAは白色脂肪細胞においてβ-hydroxybutyrylationによるヒストン修飾を介してアディポネクチン遺伝子発現を増加させることが示唆された。また,ケトン体合成酵素Hmgcs2が肝臓以外の細胞でも発現しており,各々の細胞で起こるケトン体生合成がそれらの細胞自体に影響している可能性も想定される。
「KEY WORDS」3HBA,アディポネクチン,Hmgcs2,β-hydroxybutyrylation,酸化ストレス

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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