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Ⅱ. 基礎

4.COVID-19患者におけるスフィンゴ脂質,グリセロリン脂質の変動:患者検体を用いたリピドミクス解析

蔵野信矢冨裕

The Lipid Vol.33 No.1, 68-77, 2022

COVID-19の臨床像の多様性は,新型コロナウイルス感染に続発する生体応答によると推定される。生理活性脂質は,炎症,免疫,臓器機能,血栓症,自己免疫疾患などCOVID-19の臨床像,病態生理に関連する生物学的活性を有する。血中では,臓器保護作用のあるスフィンゴシン1-リン酸が,発症前から低下すること,アポトーシス・炎症誘導作用が知られているセラミドは,分子種により変動が異なること,炎症の収束と関連があるとされるリゾホスファチジルセリンおよびその産生酵素であるPS-PLA1は,中等症例では上昇するが,重症例では上昇しないというベル型の変動を示すことなど,COVID-19では,スフィンゴ脂質,グリセロリン脂質の変動がごく早期からみられ,今後,創薬,検査の対象として期待される。
「KEY WORDS」スフィンゴシン1-リン酸,セラミド,リゾホスファチジルセリン,質量分析計

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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