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特集 COVID-19と脂質

特集にあたって

蔵野信

The Lipid Vol.33 No.1, 12-13, 2022

脂質は,微生物の増殖・感染,宿主側の免疫応答,宿主側の重症化などさまざまな点において,感染症の病態生理に関与しております。今までに先人たちの素晴らしいお仕事により,インフルエンザ,結核,HIV,肝炎ウイルスなど多くの感染症と脂質の関連が明らかになってきました。
さて,感染症の分野におきましては,何といいましてもSARS-CoV-2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が喫緊の課題としてトピックスに上がっております。COVID-19パンデミックは,医療のみならず,社会の構造変化をきたすほど大きな影響を与えており,多くの人にとってアンメットニーズが存在する疾患となっております。感染症・ウイルス学,免疫学の研究者,臨床医の英知により,ワクチンの開発,抗ウイルス薬の開発,炎症制御薬の臨床応用など光が差してきたところでありますが,ウイルス側も変異株の出現など「進化」しており,未曽有のパンデミックが続いております。この未曽有のパンデミックを乗り越えるため,さらには,何年後になるかわかりませんが,新たなパンデミックが出現したときに備えて,医学者,臨床医は,実臨床とともに,脂質学を含めてさまざまな分野の医学研究においてもその英知を結集する必要があります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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