特集 生体制御にかかわる多彩なリポクオリティ~基礎から病態まで~
特集にあたって
The Lipid Vol.30 No.4, 12, 2019
脂質と健康を語る上でその「量」が問題になることが多い.血漿中の中性脂肪(トリグリセリド)やコレステロールの値が疾患リスクの基準値として示され,メタボ検診では内臓脂肪量を反映する腹囲が計測される.もちろん多すぎる脂質量は疾患のリスクであることに変わりはないが,一方で「健康肥満」などという言葉にあるように,最近は単に量だけでなくその中身(質)が重要であるという認識が高まりつつある.例えば,血中脂肪酸の構成割合と心血管系疾患との関係性から,脂肪酸分画やオメガ3インデックスなど脂肪酸の「質」の違いやバランスの変化を指標にした生化学的検査が行われている.このような背景のもと,脂質の「質」の違いがもたらす生命現象を分子レベルで理解し,予防医学や治療に応用することを目指す「リポクオリティ」研究の潮流が生まれた(http://lipidbank.jp/lipoquality).
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