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特集 わが国の最近の生活習慣病コホート/ビッグデータ研究と臨床試験

Ⅰ.一般住民コホート研究

1.生活習慣病と認知症の関係:久山町研究

二宮利治

The Lipid Vol.30 No.3, 12-18, 2019

わが国では,超高齢社会を迎えて認知症患者の急増が医療・社会問題となっている.福岡県久山町において継続中の疫学調査(久山町研究)の成績を用いて,地域高齢者における認知症の有病率の時代的推移を検討したところ,認知症の粗有病率は2000年以降増加し,2012年には地域高齢者の約6人に1人が認知症を有していた.認知症病型別にみると,血管性認知症の有病率は1.7~3.3%であり,明らかな時代的変化は認められなかったが,アルツハイマー型認知症(AD)の粗有病率は1985年の1.4%から2012年の12.3%と有意に上昇した.認知症の発症には,高血圧,喫煙習慣,糖尿病などの環境要因が関与しており,その発症リスクは生活習慣病の予防や生活習慣の是正によって軽減できることが示唆された.
「KEY WORDS」認知症,アルツハイマー型認知症,危険因子,生活習慣病,疫学研究

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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