脂質メディエーターとよばれる生理活性脂質の一群は,必要時に組織内微小環境中で特異的代謝経路を通じて産生され,産生細胞の近傍にある標的細胞に存在する特異的受容体に作用してシグナルを伝えた後,速やかに不活性化されるオータコイド(局所ホルモン)である.長い間,脂質メディエーターは局所の炎症調節因子として研究されてきた.近年,脂質メディエーターに関連する分子群の遺伝子改変マウスの展開,脂質を網羅的に分析するリピドミクス解析技術の進展により,代謝と免疫をつなぐイムノメタボリズムの調節因子としての脂質メディエーターの新しい側面がクローズアップされつつある.
「KEY WORDS」脂質メディエーター,肥満,糖尿病,非アルコール性脂肪肝炎,慢性炎症