生理的・病理学的な細胞環境変化は,小胞体で合成される蛋白質の折り畳みを障害することがあり,これを小胞体ストレスとよんでいる.生物は,蛋白質合成調節や遺伝子発現誘導を通して蛋白質の折り畳み環境を維持する「小胞体ストレス応答」と総称される一連の細胞内シグナル伝達経路を進化させた.最近では,小胞体ストレス応答シグナルにより,蛋白質の品質管理とは直接関連性がない代謝,免疫あるいは発生・分化が制御されることが明らかになってきた.本稿では,小胞体ストレス応答シグナルによる代謝や免疫の制御について,その調節に働く転写因子を中心として概説する.
「KEY WORDS」PERK経路,IRE1経路,ATF転写因子ファミリー,C/EBP転写因子ファミリー,XBP1
「KEY WORDS」PERK経路,IRE1経路,ATF転写因子ファミリー,C/EBP転写因子ファミリー,XBP1