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特集 免疫と代謝の接点:イムノメタボリズム

Ⅰ.細胞内代謝とイムノメタボリズム

1.細胞内脂質代謝とイムノメタボリズム

伊藤綾香菅波孝祥

The Lipid Vol.30 No.2, 15-21, 2019

近年,細胞応答制御と栄養代謝制御が表裏一体の関係にあることが明らかにされ,そのクロストークの分子機構や慢性炎症における意義が解明されつつある.生体内あるいは細胞内の脂質は,食事由来の外的要因と,肝臓における生合成や,コレステロールの逆輸送などの内的要因によって厳密に制御されている.細胞内で脂肪分解によってつくられる遊離脂肪酸とその代謝産物が炎症増強作用を示す一方,n-3多価不飽和脂肪酸やその代謝産物には,抗炎症作用や炎症収束作用がある.また,細胞内のコレステロールや飽和脂肪酸を含むリン脂質の増加は,脂質ラフト上の受容体集積を促進し,炎症シグナルを増強することが明らかになってきた.近年,これらの細胞内脂質の量的・質的な変化は,慢性炎症の治療標的としても注目されている.
「KEY WORDS」脂肪酸,コレステロール,リン脂質,抗原提示細胞,核内受容体

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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