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特集 免疫と代謝の接点:イムノメタボリズム

特集にあたって

菅波孝祥

The Lipid Vol.30 No.2, 14, 2019

近年,メタボリックシンドロームや種々の生活習慣病を解くキーワードとして,“慢性炎症”が注目されている.2003年,肥満の進展とともに脂肪組織にマクロファージ浸潤が増加することが報告され,これを契機として脂肪組織炎症の分子機構に関する研究が爆発的に進捗した.現在では,肥満の進展過程の各ステージにおいて,多彩な免疫担当細胞が重要な役割を担うことが明らかになっている.例えば,非肥満の脂肪組織では,常在性の炎症抑制性M2マクロファージが存在しているが,体脂肪量の増加とともに,炎症抑制性M1マクロファージが骨髄から浸潤して炎症反応を惹起する.このとき,代謝ストレスにより細胞死に陥った脂肪細胞をM1マクロファージが取り囲み,貪食・処理する特徴的な組織像(crown-like structure:王冠様構造)が形成される.脂肪組織炎症は,アディポサイトカイン産生や脂肪蓄積などの脂肪組織機能を障害することにより,臓器間ネットワークの破綻を介して全身臓器の機能障害を招来し,最終的に種々の生活習慣病の発症に至る.このように,脂肪組織に惹起される慢性炎症の病態メカニズムに関して,飛躍的に理解が深まってきた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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