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Ⅱ.各論

4.原発性高カイロミクロン血症の過去・現在・未来

The Lipid Vol.30 No.1, 58-70, 2019

高カイロミクロン(CM)血症は,急性膵炎のハイリスクであると同時に,動脈硬化のリスクとしても注意が必要である.TG(500~)1,000mg/dL以上は高CM血症と考え,合併症に注意して治療をする.病因は,原発性(遺伝性),二次性(アルコール,糖尿病,薬剤など)に大別される.原発性の原因としては,CMを代謝するリポ蛋白リパーゼ(LPL)とその関連蛋白(APOC2,GPIHBP1,LMF1,APOA5)の遺伝子異常や自己抗体が知られている.二次性を除外の上,これらの原発性の原因について検索を進めるが,二次性と思われるなかにも原発性が隠れていることがあり注意する.現時点,原発性の原因となるLPL経路の異常を是正できる根本的な治療薬はない.治療としては,高CM血症の増悪の原因となる環境要因の是正[食事(脂肪制限,炭水化物制限),運動,節酒など]のほか,効果は限定的ではあるが高TG血症治療薬(フィブラート,選択的PPAR αモジュレーターなど)を用いるが,治療抵抗性で,急性膵炎を繰り返すことが多い.最近,ゲノム研究から明らかとなった高TG血症の原因遺伝子(APOC3ANGPTL4など)を標的とする新たな治療薬も開発されてきており,今後の臨床応用が期待される.原発性高CM血症は難病指定されている.原因遺伝子の解明,環境要因による悪化の分子機序解明からの根本的治療薬の開発,ハイリスク群を同定するための診断指標の確立など,喫緊の課題である.
「KEY WORDS」高カイロミクロン血症,急性膵炎,診断基準,難病,原因遺伝子

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抄録