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特集 原発性高脂血症研究の過去・現在・未来

Ⅰ.総論

2.「原発性高脂血症」研究~医療からサイエンスへ,サイエンスから医療へ,そして行政へ~

横山信治

The Lipid Vol.30 No.1, 22-33, 2019

原発性高脂血症の研究は,血漿リポ蛋白質の先天的代謝異常による疾患群としてその主要な原因遺伝子の変異は概ね同定されてきている.これらは主として動脈硬化性疾患のリスク因子として治療対象とされ,その代表的疾患である家族性高コレステロール血症を中心に虚血性心疾患の予防の手立ては臨床的成果をあげてきたといえる.しかしわが国におけるその公衆衛生学的全体像の把握は遅れており,すべての患者にこうした成果が行き渡りその恩恵に浴しているとはいいきれないのが現状である.現在の喫緊の課題は,研究情報の公共的共有と早期発見のスクリーニング体制の構築であり,対策が急がれる.
「KEY WORDS」血漿リポ蛋白質,脂質異常症,家族性高コレステロール血症,指定難病,小児慢性特定疾病

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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