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第4回 光で切る!ライトシート顕微鏡

黒田真史真野智之上田泰己

The Lipid Vol.30 No.1, 6-12, 2019

読者の皆さんは,どのような顕微鏡をお使いであろうか.小さいものを大きく拡大するというだけにとどまらず,実験対象から必要な情報を取り出し,視覚的に捉える装置として,偏光や位相差,暗視野顕微鏡から蛍光顕微鏡に至るまで,また電子顕微鏡や超音波顕微鏡といった光以外の伝播媒体をも駆使して,人は対象物に迫ろうとしてきた.あるいは,(顕微鏡とはよばないかもしれないが)X線CTや,MRIの像を見慣れていらっしゃるという読者も多いかもしれない.
このように医学・生物学では画像データがその研究の一次データとなることが多く,近年めざましい画像取得と画像処理の技術発展によって,その傾向はますます拍車がかかっているように感じられる.本企画で紹介するのは,比較的大きな組織試料を「切らずに」「光学的に」観察することができる顕微鏡である.その背景となるのは,これまで3回にわたって本誌での連載で紹介してきた組織透明化技術であるが,ここでは特に透明化組織観察のために用いられる顕微鏡技術に焦点を絞って記述する.組織透明化によって,「切らない」撮影法の代表格であるX線やMRIが得意とする,三次元ボクセルイメージングの特徴を兼ね備えた画像取得を,光学顕微鏡により実現することが可能になる.ボクセルとは,二次元面での格子であるピクセルを三次元に拡張した概念で,特に面内方向(x-y)と深さ方向(z)の解像度が同等である場合には,方向を区別することなくデータを扱うことができ,任意断面やある方向への投影像を再構成したり,あたかも内部を透視したようなレンダリング画像を構築したりといったことが可能になる1)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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