特集 脂質代謝と心臓血管病:up-to-date
8. LDLコレステロールと心臓血管病
The Lipid Vol.29 No.4, 64-71, 2018
LDLは末梢組織にコレステロールを運搬するリポ蛋白であり,LDL粒子中に存在するコレステロールをLDLコレステロール(LDL-C)とよぶ.フラミンガム研究をはじめとした疫学研究を皮切りに,LDL-C高値が心臓血管病のリスクとなることが示された.さらにHMG-CoA還元酵素阻害薬やNPC1 L1阻害薬,PCSK9阻害薬などの試験を経て,LDL-Cが低いほど心臓血管病のリスクが低い,すなわちthe lower, the betterという事実が解明された.次なる課題はLDL-Cをいかに管理目標値まで低下させていくのかという問題である.特に,遺伝的に出生時から高LDL-C血症を呈する家族性高コレステロール血症の診断率はいまだ低く,冠動脈疾患予防のために本疾患の診断率を上げる意義は大きい.問診や身体診察に加えアキレス腱のレントゲン撮影あるいは超音波検査も有用である.
「KEY WORDS」LDLコレステロール,家族性高コレステロール血症,心臓血管病
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。