特集 脂質代謝と心臓血管病:up-to-date
6. 脂質代謝と心臓血管病における腸内細菌の役割
The Lipid Vol.29 No.4, 50-57, 2018
腸内細菌は,一次胆汁酸の脱抱合,脱水酸化反応を担っており,無菌状態では二次胆汁酸がほとんど存在しない.無菌マウスの解析により,腸内細菌は胆汁酸代謝に影響を及ぼし,結果として脂質代謝に大きく関係していることがわかった.また,腸内細菌のコリン代謝物TMAOは,動脈硬化の増悪と心血管イベントの発生率上昇に関係していることが示されている.われわれは,冠動脈疾患に特徴的な腸内細菌叢のタイプを同定しており,生体への作用を検証しながら,腸内細菌自体やその代謝物を用いた動脈硬化予防法を探索している.本稿では,腸内細菌の脂質代謝への影響や,動脈硬化ならびに冠動脈疾患との関連を,われわれの研究成果を中心に概説する.
「KEY WORDS」腸内細菌,胆汁酸,無菌マウス,Bacteroidetes,TMAO
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