特集 脂質代謝と心臓血管病:up-to-date
2. 脂質異常と血管不全
The Lipid Vol.29 No.4, 24-29, 2018
高LDL-C血症は心血管疾患(CVD)の最重要かつ修復可能な危険因子であり,HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)によるLDL-C低下はCVDを低下させる.しかし目標値を達成しても2/3の「残存リスク」があり,そこには高TGや低HDL-Cや2型糖尿病(T2DM)新規発症などが含まれる.アトルバスタチンはLDL-C低下させるもHDL-C上昇は期待できず,高容量長期投与でT2DM発症の可能性がある.ピタバスタチンにはHDL-C上昇効果や糖代謝悪化させない利点がある.スタチンのみならず,吸収阻害薬エゼチミブやLDL受容体作動薬PCSK9阻害薬にも期待がかかる.Flow-mediated dilation(FMD)は血管不全の最重要パートである血管内皮機能の指標であり,CVD発症のサロゲートマーカーである.同じストロングスタチンでもFMDに対する効果は異なる.
「KEY WORDS」血管不全,酸化ストレス,flow-mediated vasodilation(FMD),一酸化窒素(nitric oxide;NO),スタチン
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