病理組織診断は,腫瘍の悪性度や浸潤・転移の有無,炎症性疾患の炎症や線維化の程度といった病的所見を組織形態学的に診断する医療行為のことで,疾患の最終診断に寄与する重要な診断技術である.病理組織診断は,薄切した病変組織をヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)で染色し作製したスライドガラスを,訓練を積んだ病理診断医が顕微鏡で観察することによって行われるが,この古典的な方法には,肉眼で見て最も疑わしかった部位を通る断面だけを薄切し観察すること,平面上の二次元的な組織しか評価できないことといった技術的な限界があり,その標本作製法の根幹について新たな革新的技術の導入が望まれている.筆者らは最近,2014年に筆者らが開発した組織透明化/3次元イメージング技術である『Clear, Unobstructed Brain Imaging Cocktails and Computational analysis(CUBIC)』のうち,第1世代の試薬であるCUBIC-1,CUBIC-2試薬を用いてヒト病理組織検体の透明化を行い,これらから得られる所見が病理組織診断に貢献しうることを実証している1).本稿ではこれら最新の知見を,代表的な画像データを示しつつ解説する.
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第3回 ヒト組織透明化 ~ヒト病理組織を中心に~
掲載誌
The Lipid
Vol.29 No.4 6-11,
2018
著者名
野島聡
/
洲﨑悦生
/
森井英一
/
上田泰己
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
病理
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。