前立腺癌は男性ホルモンに依存して増殖・進行を示す特徴があるため,男性ホルモンを抑制するホルモン療法は前立腺癌薬物療法の中心的役割を果たす.ホルモン療法により癌の進行を抑制し症状を緩和することが期待できる一方で,男性ホルモンが急速に去勢レベルまで抑制されることにより,体重増加や脂質代謝異常,脂肪蓄積,筋肉量減少などの代謝の変化が起こることが報告されている.また,これらの変化は糖尿病や心血管系イベントなどの疾患の発生につながる可能性もある.日本人でもこのような代謝の変化は起こりうることが報告されており,前立腺癌患者に対してホルモン療法を行う場合にはこのような代謝の変化にも留意するとともに,過剰投与にならないよう心掛ける必要がある.
「KEY WORDS」前立腺癌,ホルモン療法,脂質代謝,メタボリック症候群,予防
「KEY WORDS」前立腺癌,ホルモン療法,脂質代謝,メタボリック症候群,予防