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巻頭言

演繹から帰納へ

―non-HDL コレステロールの強み―

野田光彦

The Lipid Vol.29 No.3, 1, 2018

論理思考の進め方に,演繹と帰納という方法論がある.前者は“与えられた命題から,論理的形式に頼って推論を重ね,結論を導き出すこと”であり,後者は“個々の具体的な事例から一般に通用するような原理・法則などを導き出すこと”とされる(ともに,小学館 大辞泉より).
動脈硬化性疾患の分子基盤にかかわる多くの機構解明が,現在に至るまで広く深く推し進められ,それらが心血管病の発症・進展抑制を通じて人類の健康増進に大きく資してきたことはいうまでもない.
その経過のなかで,LDLコレステロール,apo B(およびこれに類似するLDL粒子数),non-HDLコレステロールなどが,心血管イベントの好適な予測マーカーと想定され,それらの優劣について論じられてきた.このうちの前二者は,その均質性(単一性)ゆえに,そしてそれらの分子的意義の明瞭さから,演繹論的見地から考察しやすいという一面の理があろう.さらに,従来からの過程のなかで,動脈硬化機転の中心に位置するLDLコレステロールが粥状動脈硬化予防における最重要ターゲットと目され,これを指標とした臨床試験が多く実施された結果に基づいて,その管理目標値などが定められてきた経緯がある.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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