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巻頭言

脂質代謝研究の課題と今後の展開

相川眞範

The Lipid Vol.29 No.2, 1, 2018

脂質と動脈硬化の関連は1世紀以上前に遡るロシアの科学者Ignatovski,Anitchkovらの研究に端を発している.約半世紀後にFramingham Heart Studyが始まり,高コレステロール血症が心血管リスクを高めることが臨床的にも示され始めた.その後,治療面で画期的なブレークスルーとなったのは,遠藤章博士らによるスタチンの開発であろう.多数の大規模臨床試験で,スタチン療法によるコレステロール低下が心血管リスクを減少させることが続々と証明された.近年の研究技術の進歩に伴い,脂質異常のメカニズムや創薬研究がさらに進み,この1世紀を振り返れば,大変大きな成果があがったと考えられる.一方,動脈硬化に対する脂質異常の役割は多様であり,不明な点がいくつもあり,脂質代謝研究の課題は多い.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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