特集 エピゲノムとメタボリズムのクロストーク
11. ケトン体とヒストン脱アセチル化酵素
The Lipid Vol.28 No.3, 83-87, 2017
近年,ヒトをはじめとする生物には代謝産物による転写調節の仕組みが備わっていることがわかってきた.例えばアセチルCoAやNAD+などの代謝産物は,ヒストンアセチル化酵素(HAT)やヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)などのエピゲノム修飾酵素の活性を調節することで遺伝子の転写制御と関連している.ここでは特に,生体内の代謝産物であるβヒドロキシ酪酸(βOHB)について取り上げたい.すなわちβOHBがクラスⅠヒストン脱アセチル化酵素を特異的に阻害し,グローバルな遺伝子発現変化を引き起こすとともに,酸化ストレス耐性遺伝子の発現を亢進することで酸化ストレスに耐性を示すことを明らかにした研究を紹介する.
「KEY WORDS」ヒストンアセチル化,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC),βヒドロキシ酪酸(βOHB),代謝,酸化ストレス
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。