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特集 エピゲノムとメタボリズムのクロストーク

10. オンコメタボライト:フマル酸による癌代謝と遺伝子制御

曽我朋義

The Lipid Vol.28 No.3, 75-82, 2017

クエン酸回路の代謝産物であるフマル酸,コハク酸,2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)はオンコメタボライトとして知られ,これらの代謝産物は,α-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ酵素群を阻害し,低酸素誘導因子であるHIF-1を安定化したり,DNAおよびヒストンの脱メチル化を抑制したりして,癌化に寄与することが知られている.筆者らは,フマル酸が,転写因子NRF2の安定化を介してその標的である酸化ストレス防御遺伝子群の発現を促進させたり,代謝酵素や代謝産物に結合してクエン酸回路や尿素回路を調節したりする新たな機序を見出した.詳細を紹介する.
「KEY WORDS」フマル酸,Nrf2,酸化ストレス,腎細胞癌,エピゲノム反応

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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