ヒストンアセチル化酵素によるヒストンアセチル化は,転写活性化に重要である.筆者らはGCN5が肝糖新生系酵素の発現誘導に必須のヒストンアセチル化酵素であることを見出した.また,絶食時の肝臓でGCN5はGCN5-CITED2-PKAモジュールを形成し,同モジュールで起こるPKA依存的なGCN5 Ser275リン酸化がGCN5の基質をPGC-1αからヒストンH3へとスイッチさせ,糖新生系酵素発現を誘導することを明らかにした. 肥満・糖尿病モデルマウスの肝臓におけるGCN5 Ser275リン酸化の抑制により,高血糖が改善したことから,GCN5-CITED2-PKAモジュールは,糖尿病における肝糖新生の亢進の治療ターゲットとなりうることが示された.
【特集 エピゲノムとメタボリズムのクロストーク】
7. ヒストンアセチル化と糖代謝制御
掲載誌
The Lipid
Vol.28 No.3 53-59,
2017
著者名
酒井真志人
/
松本道宏
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
糖尿病
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。