後天的ゲノム修飾であるエピゲノムは,環境変化に適応する仕組みであり,発生,分化,疾患発症に深く関与する.脂肪細胞は外的環境を感知し,代謝を変化させ,エネルギー恒常性を維持する.生活習慣や食習慣などの環境要因はエピゲノムとして細胞に記憶され,脂肪を蓄積しやすい,あるいは燃焼しやすい体質をつくっていると考えられる.次世代シークエンサーの技術革新により,ヒストンメチル化やDNAメチル化などのエピゲノムをゲノムワイドに解析することが可能となり,エピゲノムによる脂肪細胞の分化と機能制御のメカニズムが明らかになってきた.
「KEY WORDS」ヒストンメチル化, DNAメチル化,ビバレントクロマチンドメイン,クロマチン免疫沈降,糖・脂質代謝