特集 肝疾患と脂質代謝
6. 非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と脂質代謝異常
The Lipid Vol.28 No.2, 51-56, 2017
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝臓に中性脂肪(TG)が過剰に蓄積された状態である.肝臓内のTGは,肝臓への脂肪酸の流入および肝臓でのTG合成によって増加し,肝臓でのTGの酸化的分解およびVLDLとしての血中への放出によって減少する.肥満症や糖尿病の病態基盤であるインスリン抵抗性では,肝臓から超低比重リポ蛋白(VLDL)が過剰に産生され,血液中へのTG-リッチリポ蛋白(TRL)の分泌が増加し,高TG血症を呈する.その一方で,肝臓にはTG が蓄積され,NAFLDを生じる.NAFLDおよびTRL 増加の両者は,総じて,心血管リスクを高めている.今回,肝臓の脂質代謝異常であるNAFLDと高TG血症の病態およびその併存の意義について考察する.
「KEY WORDS」非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD),高中性脂肪(TG)血症,TG-リッチリポ蛋白(TRL),apolipoprotein B-100(apoB),インスリン抵抗性
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