「Summary」マウス乳仔期肝臓の遺伝子のDNAメチル解析から,脂肪酸β酸化関連遺伝子発現がPPARα依存的なDNA脱メチル化によって制御されていることが明らかとなった.これは授乳開始とともに,乳汁中の脂質成分がリガンドとなってPPARαを活性化することによると考えられる.母乳中の脂質は,乳児の栄養成分であるとともに,脂肪酸β酸化機能を発達させる役割をもつことが示唆され,人工乳などによる乳児期の栄養介入が児の将来の生活習慣病を予防する究極の「先制医療」となる可能性がある.
「Key Words」PPARα,DNAメチル化,脂肪酸β酸化,先制医療