症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ
冠動脈三枝病変を合併した家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体高齢初産の1例
掲載誌
The Lipid
Vol.26 No.4 104-108,
2015
著者名
小倉正恒
/
槇野久士
/
玉那覇民子
/
斯波 真理子
記事体裁
症例
/
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
診療科目
循環器内科
/
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
「はじめに」家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)は,LDL受容体関連遺伝子変異による遺伝病であり,高LDLコレステロール(LDL-C)血症,皮膚および腱黄色腫,若年性動脈硬化症による冠動脈疾患を特徴とする.FHにおいては冠動脈疾患の罹患頻度が約30%と極端に高いこと,冠動脈疾患の発症年齢が通常より15-20歳若いことから,的確な診断と適切な治療による動脈硬化症の発症および進展の予防がきわめて重要である.FHヘテロ接合体は200人から500人に1人の高頻度で認められる遺伝性代謝疾患であり,日常診療においてたびたび遭遇する.FH患者に限らず,正常妊娠でも母体の血清脂質値は上昇するが,FH患者においてはスタチンが催奇形性のために使用できないことからLDL-C値のコントロールが困難となる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。