エネルギー代謝と遺伝子発現調節
第5回 脂質代謝調節転写因子PPAR
掲載誌
The Lipid
Vol.26 No.4 99-103,
2015
著者名
平池 勇雄
/
脇裕典
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
老年科
媒体
The Lipid
「はじめに」Peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)は核内受容体スーパーファミリーに属する転写因子であり,これまでにα,γ,δの3種類のサブタイプが報告されている.アフリカツメガエルにおいて細胞内小器官であるperoxisomeの増殖を誘導する転写因子として発見されたことが命名の由来である1).当初はリガンドが明らかでないorphan受容体であったが,フィブラートやチアゾリジン誘導体などの合成リガンドが同定され,実臨床においても薬剤として使用されるに至った.内因性リガンドの発見に向けてもこれまでに多大な努力がなされており,リノレン酸などの不飽和脂肪酸,プロスタグランジンなどのエイコサノイド,胆汁酸やその代謝産物などが候補として報告されている.しかし現時点では各受容体に特異的,かつ生理的濃度で活性化能をもつリガンドが同定されているとは言い難くむしろ,これらさまざまなリガンドによる入力の総和がPPAR活性に影響を与えているとも考えられる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。