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特集 家族性高コレステロール血症(FH)の新しい治療

Ⅲ.FH 治療の位置付け プロブコール

山下静也

The Lipid Vol.26 No.4, 53-65, 2015

「Summary」プロブコールは古くから,広く脂質異常症(高脂血症)患者に対して投与されており,その特徴はLDLコレステロール(LDL-C)低下作用に加えて,強力な抗酸化作用,抗動脈硬化作用を併せもつ点できわめてユニークな薬剤である.特に,従来非常に治療抵抗性であるLDL受容体を欠損する家族性高コレステロール血症(FH)のホモ接合体においても,LDL-Cの低下と結節性黄色腫やアキレス腱黄色腫の著明な退縮が報告されており,粥状動脈硬化進展や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)術後の再狭窄抑制効果もある.プロブコールはHDLコレステロール(HDL-C)を特徴的に減少させるが,それは粥状動脈硬化の進展とは関連せず,コレステロールエステル転送蛋白(CETP)や肝臓のスカベンジャー受容体クラスBタイプI(SR-BI)などの発現増加を介して,コレステロール逆転送系を活性化させる結果とも考えられる.HDL-Cの低下にもかかわらず,最近,プロブコールの心血管イベントの強い再発抑制作用が後ろ向き研究で示されてきており,古くに開発された薬ではあるが,効果的には斬新な薬剤である.
「Key Words」プロブコール,抗酸化作用,LDL,HDL,黄色腫,コレステロール逆転送系

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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