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特集 家族性高コレステロール血症(FH)の新しい治療

Ⅱ.FH の診断および評価 FHの遺伝的背景・診断の現状

野原淳馬渕宏

The Lipid Vol.26 No.4, 20-29, 2015

「Summary」FHは日常診療で遭遇する高頻度の疾患であるが,現状では診断も治療も不十分な状態にある.特にわが国ではFHの診断率が非常に低く,治療を受けている場合でもFHと診断されていないため,家族の早期診断・早期治療の機会が奪われたままになっている問題がある.発端者および家族にFHの診断を行う上で,臨床診断に遺伝子診断を組み合わせることは非常に有効である.遺伝子診断では,ほとんどはLDL受容体遺伝子変異によるものだが,5%程度はPCSK9遺伝子変異によるもので,不明も2割程度ある.脂質低下療法の進歩は非常に重要であるが,早期診断が実現してこそ生涯の冠疾患リスクを正常化することが可能となる.
「Key Words」家族性高コレステロール血症,遺伝子診断,LDL受容体,PCSK9

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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