<< 一覧に戻る

巻頭言

最近感じていること

佐藤靖史

The Lipid Vol.26 No.4, 1, 2015

昨年4月に日本動脈硬化学会理事長を拝命してから約1年半が経とうとしているので,これを機会に血管生物学の基礎研究フィールドで活動してきた者として印象深かった経験とその感想を述べたいと思う.理事長を拝命してすぐに経験したのが「日本人間ドック学会の基準値問題」であった.もちろん,日本人間ドック学会が公表したデータが大変貴重なビックデータであることは間違いないが,問題となったのはそれをどのように解釈するか,どのように活用すべきかということであった.予防医学的閾値として設定されたLDLコレステロールの正常値を超える方がかなりのパーセンテージを占めていたわけであるから,予防医学的な見地から,病気の予備軍の多さに警鐘を鳴らすことは当然のことと思われる.しかし,当初正常値の基準を緩和すべきではないかという方向での意見が出たことに因って,問題点を指摘するまでにかなりの混乱を生じた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る