「Summary」血管石灰化の病理学的特徴として,メンケベルグ型中膜石灰化とアテローム性内膜石灰化に大別される.中膜石灰化により血管弾性が低下し,脈圧の増大により左室肥大へと進展する.アテローム性石灰化はプラーク破綻を惹起しやすく,末梢組織の虚血をきたす.血管石灰化は,CKD-MBDの構成要素となっている.中膜の石灰化には,平滑筋細胞の骨芽細胞への能動的な形質転換が関与しており,高リン血症が重要な規定因子である.この現象には,骨代謝調節因子が関与している,スタチンは心血管組織への直接作用だけでなく,多面的な作用から血管石灰化の抑制効果が報告されているが,更なる検討が必要である.
「Key Words」血管石灰化,CKD-MBD,形質転換,骨代謝調節因子,スタチン