「Summary」頸部大動脈の狭窄病変(プラーク)と動脈硬化に起因する石灰化病変は,相互に強く関連している.これまで,プラークに伴う石灰化は,プラークが動脈内膜の変性から形成されることから内膜石灰化と考えられてきた.しかし,CT Angiographyを用いて1,139頸動脈分岐部の壁内石灰化部位を検討したところ,内膜石灰化よりも中膜石灰化の方がプラークに強く関連していた.血管石灰化のリスク要因としては,加齢,慢性腎臓病(CKD),糖尿病,高血圧症,脂質異常症,喫煙習慣などが報告されているが,内膜石灰化には糖尿病と高血圧症が関連しており,中膜石灰化にはCKDが強く関与していた.さらに,大動脈弓部の本幹の石灰化にはCKDが,3枝分岐部の石灰化には高血圧症が関与していた.糖尿病と脂質異常症はCKDの頸動脈分岐部中膜石灰化リスクを,CKDは高血圧症の大動脈3分岐部石灰化リスクを上昇させる可能性があることを示した.
「Key Words」頸動脈分岐部石灰化,慢性腎臓病,糖尿病,高血圧症,脂質異常症